私の尊敬するデザイナーの1人で、深澤直人さんという方がいます。
工業デザイナーをしており、多摩美術大学の教授や民藝館の館長などもされています。
深澤直人さんの著書、デザインの輪郭の話を少ししようと思います。
「デザインとは何か」というテーマは度々デザイナーの中で話題になります。
原研哉さんはデザインとは「本質を表すこと」である、梅原真さんはデザインとは「笑い」で
あるなど、答えを出すデザイナーさんもいますが、深澤直人さんは「ぼわっと浮き上がってく
るもの」とおっしゃっています。
一節に「輪郭を成す要因は、デザイナーによって抽出されるものである。彼方で暗く、しかも
確かに光る小さな星も、その輪郭を成す要因となる。無自覚であるからこそその存在に気づか
ない小さな因子は、輪郭を成した時に、初めて人びとにその存在が認識される。人はその輪郭
に含まれている星の存在を初めてみたように自覚し、感動する。」とあります。
すごく工業デザイナーらしいというか、彫刻家のような考え方、つまり平面で捉えられがちな
デザインという概念をすごく立体的に捉えられていて、興味深く感じました。
私たちパッケージデザイナーでも、その輪郭を表すことができるのか、少し考えてみました。
存在に気づかれない小さな星は、お客様も気づかないようなことで、その存在をどうにか見つ
け出し形に表すには、やはり日頃のコミュニケーションや、お客様のこと、会社のこと、商品
のことをいかに多角的に捉えるか、深く知るか、知ろうとするかという点が大事なのではない
かと思います。
1番身近な人が気づかないような魅力や、その商品を表すものを見つけ出し、その存在を認識さ
せた時に感動が生まれ、商品の付加価値となるのではないでしょうか。
日々時間に追われ、短い時間で多くのデザインを生む仕事の中ではなかなか難しいですが、
少しでもそんなデザインに近づけるように成長していきたいです。