僕は一昨年の2020年から、地元中学校の吹奏楽部父母会の役員と
して副会長、会長と経験させてもらい、来月11月末で引退になり
ます。その活動から見えた、「自分の可能性を努力で少しでも高め
ようとする生徒たちの姿」と「その周りの大人たち」についてお話
させていただきます。
父母会の活動内容は、演奏会やイベント会場設営と運営、部費の集
金、たよりの作成、各種手続きが主な内容です。メンバーは会長、
副会長、部費会計、父母会計、書記、会計監査の6名。以前はさら
に2人いたそうですが、なり手がおらず現状の体制です。1年生か
ら3年生まで子供が約50人。保護者はその倍近くになります。
新役員を決める際、役員を受けてもいいという方は1人か2人。
役員を決めるアンケート用紙には、仕事をされてる保護者の方がほ
とんどの為、「仕事を理由にできないというのは無しでお願いしま
す」と書いてありますが、このような状況です。「自分は忙しいし
誰かがするだろう」、「人前に出るとかすきじゃない」、「部費を
払っているからいいだろう」と思っている方が多いのでしょう。
僕は今までボランティア活動やPTA活動など一切したことがあり
ませんでした。たぶん何か理由をつけてやらないできたのでしょう。
今回僕が引き受けたのは、「営利のない仕事」という、未知の場所
へ飛び込むことで、「 新しい刺激 」という名の経験と学びを求め
たことがきっかけでした。
実際に活動してみて感じたのは、子供たちは平日も休みも部活に
行き、一生懸命に自身の技術を上達させようと努力しています。普
通の一般家庭の子がほとんどで、防音室のある家など当然なく、自
宅での練習が難しいため、豊平川の河川敷にいってそれぞれが部休
みの日も練習しています。
この結果奏でられる合奏。一人ひとりの技量の差や個性も含めて数
十人が、全体を感じながら、お互いの音の力加減や、役割を聴き取
り、受け入れ、寄り添い、カバーし合いながら、一つの演奏を奏で
ます。協力・協調しながらつくりあげるものであり、楽譜というル
ールの中で、それぞれが個性ををあわせるって、すごいなと思いま
した。僕自身、音楽はまったくできませんので余計にそう思うのか
もしれません。
一方、その親たちはどうあるべきなんだろうとも当然ながら思い
ました。学校で部活をさせるために日々一生懸命働くことは、どの
ご家庭も同じだと思います。それが義務なのだとしたら、義務以上
の背中を見せることがあっても良いのかなとも感じました。学校の
先生は教えることが仕事で義務なのかもしれません。部活の先生は
毎週休日に学校へ来て1回4時間分のわずかな手当で、それ以上の
時間を生徒へ費やしてくれています。もし先生が義務だけで教える
なら、4時間の中ですべての準備をし、残った僅かな時間で、時間
の範囲内での教えや学びの機会しか作らないでしょう。保護者が、
指導者の負担を軽減させて指導に集中できる環境をつくることがで
きるなら、子供たちはより深い、個人ではかなわない貴重な経験に
触れることが出来、努力から得る「 結果 」と「 成長 」という、
納得のいく成功体験を得ることができるのだと思います。
これだけの数の同年代と、今しかない限られた時間の中で、自分と
向き合い、仲間と協調して全力をつくすという経験は、どれだけ尊
く、この先経験する機会が少ないことなのか。学校を卒業して、時
間が経った皆さんには、とても良くわかると思います。将来こども
が大人になって同じ立場となった時、仕事も頑張り、その上で自分
たちの活動にも協力していたお父さんお母さんをどう思うでしょう
か。そしてその子たちは、自身の子供に、どう接していくでしょうか。
自分自身、今回の経験を通して「新しい刺激」と「今のその先」を
見ることができました。自分の義務の外側をのぞいてみることって
大事だなと思いました。このような機会がある時には、ぜひ手をあ
げてみていただけたら幸いです。